昔受けた矯正治療が原因でTMDを発症したKRさん 26歳女性

右首後ろの画像

みぎ耳の後ろ画像

右正面の画像



症状は右側だけに現れる
治療経過

     患者:  〇 〇子 26歳女性
     初診:  平成23年 7月 4日
     主訴:  肩こり、体のふらつき、顎の疲れ

     病歴:  腰痛がひどかったためにカイロプラクティックに通った。
          腰痛は良くなってきたが、痛みはどんどん上の方に上がってきて、首のこり、肩こり、顔が引きつるよう
          になった。顔面は右側が後ろに引っ張られているように感じる。
          片方にだけ症状があり、2~3年前から整体,カイロ、ハリなどに通ったが、その場限りで、違和感は
          良くならなかった。
          もしかすると噛み合わせの問題かもしれないと思い始めた。
      
     既往歴: 子供のころ、下の顎を引っ込めるため、Ⅲ級の矯正治療を受けた。 
かみあわせ予診表-1

かみあわせ予診表-2

かみあわせ予診表-3

治療経過(1)

平成23年 7月 16日  診断用資料の採取
        パノラマレントゲンの撮影
        全身の姿勢の評価記録、口腔内の視診、写真撮影、歯列模型の印象
        EMG(筋電計による金の安静と機能時の筋活動の測定と記録)
        CMS(顎運動記録装置)による顎運動の評価と記録
        TENS(低周波刺激装置)による筋の安静化
        CMS (顎運動記録装置)による安静位と習慣性咬合位の評価と記録

8月 1日 オーソーシス(顎位を整復する治療器具)を装着
        奥歯の下側が少し前に出ているので直していくと説明
        装着直後の感想としては高さのバランスが改善されたとのこと

8月24日 オーソシスの調整と症状の変化の確認
       オーソシスをするようになって2週間で、肩こり、首筋の痛みが軽くなったとのこと、
       (お通じも良くなった)
       腰痛、目の痛みもまだあるが集中力、イライラ感は改善された
       全体的に症状は良くなってきた
       真っすぐに立つ感覚が分かるようになってきた
嚙み合わせ画像1



嚙み合わせ画像3



嚙み合わせ画像2



嚙み合わせ画像4



嚙み合わせ画像5

K7data(1)
SCAN

SCAN2

CO-11

CO-21

MC-31

MC41

K7data(3)
SCAN3
オーソーシス装着
23年8月1日
Minolta DSC

Minolta DSC

13-3



13-4




治療経過(2)

平成23年 9月 24日日  診断用資料の採取
        全体的に調子が良い
        首の痛みはまだあるが、片側打というのは無くなった
        肩こり、頭痛はほぼ0ゼロで、生理不順、便秘も良くなった
        症状が改善されたので、2度目の健康調査票を記入してもらった
        
        今後の治療方針としては、親知らずの抜歯(18,28)
        右の奥歯は比較的に咬み合っているのに対して、左側がすいている
        治療方法としては、矯正治療で咬合を再構成するか固定性のオーソシスを装着する
        かの2つの選択肢があることを説明した
        
        オーソシスを外した直後には、左側の前歯部(22,23)が当たるので、もしかしたら
        そこを咬合調整(削合)するだけで解決するかもしれないと説明した
        
        いずれにしても顎の症状がもう少し安定したところで2次治療の方法について検討する
かみあわせ予診表-4


矯正治療とTMD(治療後の考察)

          ① 患者は小学生時代に反対咬合のために矯正治療を受けている。
          ② 一般的に矯正治療は前歯部の審美性に重点をおいて行われるので顎位について
             の配慮はおろそかになりがちである。
          ③ その結果、顎位は後退してなおかつ不安定になったと推察される。
          ④ この二つの顎位の変化がTMDの発症の原因になったということは疑いようのない事実である。
          ⑤ 治療は後退した下顎位を元の安静位に戻し、そこで安定させることで達成された。
          ⑥ わずか2カ月でほとんどすべての症状は消失している。
          ⑦ このように矯正治療によって顎位を狂わされることは珍しいことではない。
          ⑧ その結果TMDという複数の不定愁訴の集合体に見舞われるということは、ほとんど
             知られていない。
          ⑨ そのためこのような不定愁訴に見舞われた患者は適切な診断と治療を受けられず
             に彷徨うことになる。その原因を知らされることもない。
          ⑩ この患者は症状が消失したのち、2次治療をうけることなく消息を絶っている。

矯正治療に伴って多発する不快症状(TMD)について


     
                     最近、矯正治療後またはその最中に、顎関節症をはじめとして、頭痛、肩こりな、どの筋肉症状、
                      動悸、息切れ、めまいなどの自律神経失調、気分の落ち込み、無気力などの気分障害などの
                      さまざまな体調不良(TMD)に見舞われることが増えている。
                      その最大の原因は矯正治療によって安定した噛み合わせが失われて下顎の位置が不安定に
                      なることと、噛むときの顎の位置が狂わされてしまうためである。
                      矯正治療は審美性を整えることを目的として行われるために、下顎の状態について配慮される
                      ことはほとんどない。また多くの矯正歯科医は咬み合わせが変化することによってこのように重大
                      な健康障害が惹起されることについての認識がなく、そのような事態に直面しても対応する知識も
                      対処法も持ち合わせていないのが現状である。そのため、不幸にしてこのような事態に直面した
                      患者さんは殆ど救済されることなく長時間にわたって放置されて苦しむことになる。
                      しかしこのような不快症状は全身の筋肉の過剰な緊張が原因で起こっているので、そのことに
                      注目して対策を講じれば比較的容易に問題を解決することが出来る。そのためにはこのように
                      筋肉を緊張させる原因について知らなければならない。
                      全身の筋肉の緊張は下顎の周辺の筋肉から始まって全身に波及していくことはあまり知られて
                      いない。その下顎の周辺の筋肉を緊張させるのは下顎の位置の微妙な変化であるということも
                      ほとんど知られていない。
                      そのため下顎の周辺の筋肉が安静を保つことが出来るような位置に下顎を安置することが必要
                      であり、それができれば直ちに緊張はほぐれて症状は急激に改善する。