噛み合わせ症候群の診断と治療

2019年4月23日|カテゴリー「お悩み相談
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悪い噛み合わせを治す方法。あなたの症状は矯正で治せる?

噛み合わせが悪いために起こる不定愁訴の症状を矯正治療で治せるかというご質問には、矯正治療は不定愁訴そのものを解消する手段としてはあまり有効ではないとお答えすることにしています。

しかし悪い噛み合わせを治療するためには非常に有効な手段ですので上手に使い分けることが大切です。

その理由は不定愁訴は下あごの位置がずらされて異常になることでおこりますが、そのあごの位置を修正する手段として矯正治療はあまり効率的ではなくもっと他によい手段があるからです。

矯正治療で不定愁訴は解消しようとすると、治療期間がいたずらに長くかかり不定愁訴はなくならずに歯並びだけが改善して終了という結果におわることがあります。

悪い噛み合わせを治すということは悪い歯並びを治すことではありません。不定愁訴をなくすことです。

不定愁訴をなくす手段としては下あごの位置のズレをマウスピース(オーソシス)を使用して修正するほうがはるかに効率的で確実な結果を得ることが出来ます。

通常不定愁訴は2~3カ月で解消すことができます。

矯正治療は不定愁訴がなくなったあとにそれぞれ個々の歯の位置を整えて上下の歯がしっかりと噛みあうようにする手段として用いると効果を発揮します。

不定愁訴の治療方法については歯科界にも大きな誤解があるようですので、豊富な臨床経験をもとずいて詳しく解説させていただきます。

1.矯正治療を上手につかって噛み合わせが原因でおきた不定
  愁訴を効果的に治療する方法とは?

矯正治療は歯を削ったりしない治療法なので歯にたいする侵襲がすくない治療法です。

矯正治療は個々の歯の位置や方向を変えて歯並びを整えるためには効果的であっても、下あご全体の位置を変えたりする治療には適していません。

矯正治療は見た目が悪い歯並びをきれいに整えるための治療法として発展してきました。

しかし悪い歯並びをいくらきれいに整えても不定愁訴が改善されるわけではありません。

不定愁訴は悪い歯並びのせいではなく、下あごの位置を狂わせてしまう特殊な噛み合わせのためにおこる不快症状だからです。

そのためいくら歯並びが悪くても不定愁訴がない人はいくらでもいます。

特殊な噛み合わせとは歯が噛み会う度に下あごの位置をずらしてしまう噛み合わせのことです。

噛み合わせによって下あごがすらされると、下あごに付着している顎の周辺の筋肉や顎関節が安静を保てなくなり過度に緊張することによってでさまざまな不快な症状がもたらされます。

さまざまな不快な症状(不定愁訴)を治療するためにはずらされた下あごを筋肉や顎関節が緊張しない安静な位置にもどすことが必要で、それができれば効果的に不定愁訴を無くすことができます。

そのため不定愁訴の治療は歯並びの治療ではなく下あごの位置を修正する治療が主体となります。

1-1.矯正治療は不定愁訴の治療でではなく症状がなくなったあとで噛み合わせを治す手段として使うと効果的

治療の目的は不定愁訴を解消することですが、はじめから矯正治療で不定愁訴を解消しようとすることはあまり良い方法ではありません。

不定愁訴は下あごの位置がずれることで起こりますので不定愁訴を解消するためには下あごの位置のズレを修正しなければなりません。

しかし矯正治療は下あごの位置のずれを修正するための治療手段としては効率がわるく、そのため治療期間が長くかかる傾向があります。そのうえ効果が不確かになりがちです。

そのためだらだらと治療が長引きその結果不定愁訴はなくならならなかったという結果になりかねません。

その理由は矯正治療は個々のはを動かす手段としては優れていますが下あご全体の位置を正確にコントロールするという手段としては技術的に効果的ではありません。

そのため下あごの位置を正して不定愁訴を解消する手段としては矯正治療ではなくもっと効率的な別の方法を選択する方がよいのです。

それはマウスピース(スプリント?)を使うという方法です。

マウスピース(オーソシス)を使用すると、下あごの位置を正確に管理して修正することが出来ます。

下あごの位置を正確に把握して不定愁訴が消えるあごの位置(下顎安静位)を正確に検索してオーソシスで誘導することができれば不定愁訴を確実に消すことが出来ます。

効果は早ければ1~2週間から3カ月くらいの短期間で現れて不定愁訴の症状を解消することができます。

不定愁訴の症状が緩解したあとは下あごがズレる原因となった噛み合わせを治す治療を行うことになります。

原因となった悪い噛み合わせを治すことで、オーソシスをはずしても不定愁訴が戻ってこないようにすることができます。さもなければオーソシスをずっと使い続けけなければなりません。

オーソシスを使わなくても不定愁訴が戻ってこないようにするためには、不定愁訴が起こららない下あごの位置(下顎安静位)で元の歯が噛み合うように噛み合わせを並べかえて咬合を再構成する治療が必要になります。

この段階目の治療をそれまでの症状を解消するための治療(初期治療または一次治療)と区別して、二次治療(セカンドフェーズ)と呼んでいます。

噛み合わせの治療は不定愁訴を消す段階(一次治療または初期治療)と悪い噛み合わせを治す段階(二次治療)の二段階に分けて考えて治療する方が安全で確実な結果が得られます。

矯正医療は噛み合わせを治す段階である二次治療で行うと効果を発揮してで確実な成果を得るために役立ちます。

噛み合わせの治療で一番多くみられる失敗(不定愁訴が消えない)はこの二つの段階の治療を漫然と渾然一体でおこなってしまうことでおきます。

悪い噛み合わせを治せば不定愁訴が無くなるはずだと考えて矯正治療などを始めてしまうことが多いのですが、うすると歯並びだけが改善して不定愁訴は解消しなかったなどという結果になりかねません。

矯正治療が長々と行なわれたあげく不定愁訴はそのままになってしまったという悲劇的なことはよく見聞きすることです。

または漠然と歯を削る咬合調整をして歯をたくさん削られたあげくに、かえって症状が悪化したなどということも頻発しています。

そのようなことを避けるためには治療の初期に比較的に短期間でおわる不定愁訴をなくす治療を先に行って、噛み合わせの治療は後から行う方が効果は確実で安全です。

一次治療で不定愁訴を消したあとで二次治療として原因となった噛み合わせの治療をするするという治療方法は噛み合わせ治療の原則ですが、それには重要な理由があります。

一次治療で不定愁訴を確実に消すためには不定愁訴が起こらない下あごの位置である下顎安静位を探すことが不可欠です。それができなければ不定愁訴を消すことは出来ません。

不定愁訴を起こさないあごの位置である下顎安静位を見つけるためにはそれなりの蓄積されたノウハウがあります。

残念ながら現状ではどこの医療機関でも出来るわけではありませんが、それが可能なために自信をもって治療を進めることができています。

不定愁訴を起こさない下あごの位置は下顎安静位と呼ばれている下あごの位置のことですが、この下顎安静位がすべての噛み合わせ治療の鍵をにぎっています。

オーソシスを使ってその下顎安静位に下あごを誘導することができれば不定愁訴を解消することができますが、それは正しい下顎安静位が見つからなければ達成できません。

治療効果が達成できたということは有効な下顎安静が見つかったということを裏付けることになり、効果が実証された下顎位として有効性が認められたことになります。

二次治療以降では有効性が確認された下顎位をつかって噛み合わせの治療をすることができますので、不定愁訴を再発させない噛み合わせ治療を安心して行うことができます。

それ以降の治療は実証された下顎安静位が保たれるように注意して行えば不定愁訴の再発のことは心配しないで自信をもって治療をおわらせることができます。

一次治療は下顎安静位を探して患者さんのあごを下顎安静位に導き不定愁訴をなくすための治療ですが、下顎安静位を探してその位置の有効性を確かめる治療でもあります。

一次治療で有効な下顎位を見つけて不定愁訴を消すことが出来ないかぎり、二次治療に移ることは許されません。

二次治療は歯を削ったり動かしたりする治療が多いので、歯に対する侵襲度が強く、後に戻すことが出来ない不可逆的な治療を多く行うことになります。

そのように犠牲の多い治療を行うに際してその結果、不定愁訴を解決することが出来なかったということになればその責任は償いようのない重いものになります。

そのようなことを避ける意味でも噛み合わせの治療は二段階に分けて行うことが不可欠です。

1-2.不定愁訴の治療でオーソシスをつかってあごの位置を修正するとほぼ確実に治すことが出来るのはなぜか?

しつこい肩こりや首筋の痛み、締め付けられるような頭痛や目の奥の痛みなどの筋肉症状、治りにくい顎関節症、不眠や疲れやすさ、便秘や激しい生理痛などの不定愁訴はどこの医療機関に相談しても根本的な解決は得られません。

しかしこれらの症状を下あごの位置の異常からくる筋肉の緊張が原因であると考えて治療をすると、ほぼ完全に解決することができます。

これはまだ一部の臨床家の間でしか実行されていませんが、50年前からある考え方と治療法です。

これははまだ一般的に支持されているとはいえませんが、われわれが所属している学会では既定の事実として共有されています。(国際顎頭蓋機能学会日本部会ICCMO)

この学会で提唱している次のような概念を理解して治療法のステップを忠実に実行することで夢のような結果が得られます。

 1.さまざまな不定愁訴の本質は筋肉の過度な緊張である

 2.肩こりや首のこり、緊張型の頭痛などは下あごの周囲の筋肉の緊張から派生しておこる

 3.下あごの筋肉が緊張する原因は下あごと頭蓋の相互的な位置関係が異常になるためである

 4.下あごの筋肉を緊張させる原因は歯の噛み合わせが下あごの位置を狂わせるからである

 5.下あごの周辺の筋肉が安静を保つことができる下顎安静位では不定愁訴はおこらない

 6.不定愁訴を治療するためには下あごの位置を下顎安静位に保つことが必要である

 7.下あごを下顎安静位に置くことが出来れば不定愁訴は解消する

 8.そのためには下顎安静位を探さなければならない

 9.下顎安静位は下あごをの筋肉を一時的に安静に導いて採特する

10.下顎安静位を採特することができたらその下あごの位置でオーソシスをつくる

11.そのオーソシスを使ってもらい不定愁訴が無くなったらその下顎位は正しいことがわかる

12.下あごをずらす噛み合わせは下顎安静位で噛み合うように治療する

13.下顎安静位をみつけて不定愁訴をなくす治療とその位置で歯が噛み合うようにする治療は
   二つの段階の治療であると考えて治療することが大切である

14.第一段階に治療で下顎安静位をさがして其位置で不定愁訴が消えないようであれば第二段階
   の治療は行わないようにすることが重要である

15.下顎安静位を探す時もその位置でかみあわせを治療する時にも下顎位をK7(顎運動追跡
   記録装置)で観察しながら行うことで正確で確実な治療をすることが出来る

以上のような考え方と治療の手順を守れば不可能と思われていた困難な不定愁訴の治療をだれでも確実におこなうことが出来ます。   

残念ながらこのような方法で不定愁訴を治療している医療機関は限られています。

このような治療を希望される場合には下記の学会のホームぺージにアクセスして会員のページからお近くの医療機関を探されることをお勧めします。

       国際顎頭蓋機能学会日本部会(ICCMO-J)
                    www.iccmo.jp/

1-3.不定愁訴が解消したあとで行う悪い噛み合わせを治すための二次治療には二つの選択肢がある

初期治療または一次治療で不定愁訴が解消されたら治療の目的は達成されたようですが、治療はこれで終わりではありません。

下あごの位置をずらして不定愁訴の原因となった悪い噛み合わせはをのままですから、オーソシスは手放せない状態です。

オーソシスの着用を中止すれば悪い噛み合わせの影響で不定愁訴が再発するおそれがあるのでやめるわけにはいきません。

かといってオーソシスを着用したままでは食事もできませんし、会話も不自由です。

一刻でも早く噛み合わせを治してご自分の歯で不定愁訴の再発を心配しなくてもよい生活に戻りたいと思われるのは当然です。

そこで噛み合わせを治してご自分の歯で生活できるようにするための二次治療を始めることになるのですが、この治療はある意味で一次治療よりははるかに大変な治療です。 

その理由は治療に要する治療期間と費用がはるかに長く高額になるからです。さらに技術的な難易度も高く熟練の技術が要求されます。

噛み合わせを治す二次治療の方法には技術的に二つの方法があります。

そのひとつは噛み合わせを治すためにご自分の歯を削って人口の歯を被せて形態を変えて上下の歯が下顎安静位で咬合するようにする治療で補綴的咬合再構成治療とよんでいる治療法です。

もう一つの方法はご自分の歯を移動させても区t期の位置まで動かして下顎安静位で咬合させる方法で矯正的咬合再構成治療とよんでいる治療法です。

二次治療でそのどちらを選択するかはその時の下あごの位置関係や上下の歯の相互的な位置関係、歯並びの状態を考慮して決めますが、患者さんのご自分の歯に対する思いなどを考慮して選択します。

補綴的咬合再構成治療
 は、歯の形態を人工物を被せて変更する治療法なのでご自分の歯を大分削ることになります。
 まだ何も治療していな手付かずの天然歯の場合にはあまりお勧めしたくないような治療でです。
 はそのものにとってかなり侵襲の多い治療法です。

矯正的咬合再構成治療 
 は、上下の歯を下顎安静位で噛み合わせるためにご自分の歯を移動して噛み合わせる治療法です
 が、技術的難度は非常に高くこの方法に熟達している矯正歯科医はほとんどいません。
 そのため治療期間が酷く長くかかるのが難点です。
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2.矯正治療をつかって噛み合わせ治療するための具体的な
  治療法

3-1.一次治療

噛み合わせ治療のながれは以下のようになります。

  ・カウンセリング
  ・噛み合わせの異常と体調不良の関係を調べる
  ・筋肉の緊張の度合いを測る(筋電計)
  ・筋肉が緊張しないあごが楽な位置(下顎安静位)をさがす(TENSとK7を使用)
  ・そのあごの位置(下顎安静位)を維持するための装置を作って使用してもらう
  ・症状が改善されたら最終治療に移行する

3-2.二次治療

矯正治療をつかった最終治療(二次治療)

二次治療は一次治療で見つけて不定愁訴が消えることが実証された下顎安静位を維持しながら上下の歯をしっかりと噛みあわさせることが目的です。

一番のリスクは上下の歯が噛み合った段階であごの位置がズレてしまうことです。

矯正治療は補綴的な治療にくらべて下顎安静位を維持することが各段に難しい治療法です。

4.実際に矯正的な手段で咬合再構成した症例を紹介します

一次治療で不定愁訴を解消したあとで実際に二次治療で矯正的な手段により咬合を再構成した症例を紹介します。

4-1.症例の紹介

患者さんは当時45歳の女性で数件の噛み合わせ専門医でスプリント治療をうけていたのですが、きちんと噛めないことと月に8回おど薬を飲むほどの頭痛、肩こり、首、背中の痛みを訴えて来院されました。
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初診時の症状を示す

健康調査表を記入していただいたところ、上記の症状のほかに、目の疲れ、不眠、寝起きの悪さ、動悸、疲れやすさなどの症状を訴えておられました。

噛み合わせに関する病歴としては20年ほど前から顎関節症の治療を受けておられたとのことです。

噛み合わせ専門医のところで受けているスプリント治療自体にあまり納得がいかず、調整中に痛みが出たこともあったので転医して来院されました。

4-2.一次治療(初期治療)

治療は姿勢と口腔内の写真、歯の石膏模型の製作、筋電図検査、などを経てTENSで筋肉の安静化をしたあとで安静位での顎位の記録を採りました。

このようにTENSを使うということはわれあれの噛み合わせの治療では非常に重要でこれなしに噛み合わせの治療をおこなうことはできません。
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まずTENS(経皮的電気刺激装置)で顎の筋肉の安静化をはかる

K7(顎運動記録装置)上で下顎安静位と咬合位との比較をしたところかなりの乖離がみられましたので、顎位のずれがかなり大きいことが分かりました。
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上の図はK7(顎運動記録装置)で下顎安静位と習慣性咬合位を比較する画面を示しています。画面中央の赤い三角形が大きいほど両者の乖離が大きいことを示いています。顎位のずれが大きいこと分かり、症状の重篤さを知ることができる。

下顎安静位で石膏模型を咬合器にマウントすると顎位のずれ(乖離)の大きさ具体的に知ることが出来ます。
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上の写真は下顎安静位でマウントされた石膏模型をしめす。 

下あごの力が抜けたこの状態が下あごの筋肉が安静で楽な状態を示しています。筋肉が緊張していないこの楽な状態が保たれているこのあごの位置で上下の歯が噛み合っていれば不定愁訴は起こらないはずです。

ほとんどの普通の人はそのようになっていて下顎安静位と習慣性の咬合位は一致しています。

しかし実際にはこの患者さんは普段、下の写真のように上下の歯を噛み合わせていますが、このように噛み合わせている最中は下あごの周辺の筋肉は安静ではない緊張した状態に置かれています。無理を強いられる状態なのです。

実際に噛み締める度に不快感を感じることもあるはずです。歯を咬み合わせないで口を軽く開けていたほうが楽なはずです。
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初診時の患者さんの噛み合わせの状態(習慣性咬合位)

そのように上下の歯が噛み合う度に筋肉が安静を保つことができない位置にあご下あごを移動させらる噛み合わせは筋肉に負担を強いることになります。筋肉が緊張する原因となります。

一見異常に見える上の石膏模型の写真は、実は下あごの位置は正常(下顎安静位)で歯の噛み合わせが異常な状態を示しています。

また一見正常に見えるこの患者さんの普段の噛み合わせが実は異常であるということは下あごを安静位に導いてみないと知ることはできません。

これが噛み合わせが悪いということの本当の意味を具体的に示しています。

悪い噛み合わせを治すということは、正常な下あごの位置(下顎安静位)で上下の歯が噛み合うようにする治療のことです。

下顎安静位がみつかれば下あごを下顎安静位に導いてそこで下顎を保持するようにすると、下顎の周辺の筋肉は安静を保つことが出来て緊張しなくなり不定愁訴は消えます。

下の写真は下顎安静位をたもつためのオーソシスを装着しているところを示しています。
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透明な樹脂で作られているので見えにくいかもしれませんが下顎安静位に下顎を保持しているところを見ていただけると思います。

下の写真は下のあごに装着して使っていただくオーソシスを示しています。
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オーソシスにはこの写真のように取り外しができる可撤式のものと歯の上に接着してしまう固定式のものがあります。

オーソシス装着後の症状の変化

オーソシス装着後19日目の症状の変化

頭痛はまだあるが身体が軽くなった
以前より良く眠れるようになった
背中は良くなったが腰痛が強くなった
全体的には良くなっている
顎関節の左の方がガックンとなった
下顎を後ろに引いてしまう癖がまだある

オーソシス装着後一カ月半後の症状

頭痛はまだある
背中の痛みは気にならなくなってきた
眠りは以前よりさらに改善された

オーソーシス装着後1年半後に体調がほぼ改善されたので一次治療を終了することにしました。

K7のデータも下の図のようにオーソシスの咬合位が下顎安静位上にとどまっていることを示していますので、この顎位で二次治療をおこなうこができます。(初診の時にあった赤い三角がなくなっています)
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二次治療は相談の上矯正治療で行うことにしました。この患者さんのお口の中は殆ど補綴治療がなされていないので補綴治療はしたくないというお互いの意見が一致したのでそれに従いました。

4-3.二次治療

二次治療は下顎安静が見つかってその下あごの位置で不定愁訴を消すことができたことが確認されてから行います。 二次治療は治療の侵襲が大きな治療ですから、不定愁訴がなくなることが保証されないかぎり行ってはならない治療です。 それは医療倫理上当然のことです。 二次治療の目的は下の写真のように下顎安静位で上下の歯が噛み合っていない状態を噛みあうようにする治療ですが、その方法には歯に被せ物ををして歯を高くして噛み合うようにする方法と、矯正治療で歯を動かして噛みあうようにする方法があります。
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この患者さんは45歳とまだ若く、下の写真のように歯の治療痕も少なく、比較的奇麗な状態でさらに歯並びが多少乱れているところまあるようなので、矯正治療による咬合再構成を行うことになりました。
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矯正治療開始

矯正治療は下顎安静位を見失わないようにするために下のあごにオーソシスを装着した状態で開始しました。
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約2カ月後に上の歯の歯並びが整ってきたところでオーソシスを上のあごに新し作って下顎安静位が失われないようにして下の歯の矯正を始めました。
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このように新たな顎位(下顎安静位)で上下の歯が噛みあ会うようにする矯正治療はこれまでに行われてこなかった治療なので顎位を維持するために上下を別々に治療しなければなりません。

そのため治療に要する治療期間は長くなります。

約一年後、上下の歯列も整ってきて顎位も安定してきました。
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さらに一年後上下の噛み合わせはさらに安定してきますた。もちろん不定愁訴は再発していません。
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それからさらに一年後に装置を外して矯正治療を終了しました。

治療期間は5年を費やしてしまいました。
もっと治療期間を短縮するためにはどうすればよいかを反省をこめて考慮中です。
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5.まとめ

矯正治療は元の歯を削ったり被せたりしない治療法なので歯に優しい治療法です。

しかしあごの位置を正確に位置づける手段としては未解決は部分が多い治療法でもあります。

最近ではマウスピースをつかった歯列矯正法が急速に発展してきておりますので、これらの問題は一挙に解決されるかもしれません。

2019年4月22日|カテゴリー「噛み合わせ症候群の診断と治療
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あなたはある種の頭痛は噛み合わせを治すと解消するということをご存知でしたか?

ある種の頭痛とは頭の周囲の筋肉が緊張しておこる緊張型の頭痛のことです。

頭の周囲の筋肉が緊張するときにはまず下あごを動かしている筋肉が緊張します。

下あごの筋肉は噛み合わせが悪くて下あごの位置がずれることで緊張します。

そのため噛み合わせを治して下あごの位置を元に戻してやれば下あごの筋肉の緊張がとれて頭痛が無くなるのです。


1.噛み合わせが悪いとなぜ頭痛がおこるのか?

15歳以上の日本人のうち、3人に1人は「頭痛もち」で、3000万人以上が悩んでいると言われています。

頭痛と一言で言っても、その原因は様々で、それによって治療法は異なります。

頭痛には脳の血管が広がって痛む「片頭痛」、頭の周りの筋肉が緊張して痛む「緊張型頭痛」があります。

脈打つように痛み、吐き気もともなう「片頭痛」と頭全体が締め付けられるように痛い「緊張型頭痛」というように区別することができます。

「片頭痛がおこる直前には肩こりがでることもあり、こめかみから目のあたりがズキンズキンと心臓の拍動に合わせるように痛みます。

その他にも片頭痛よりもさらに激烈な痛みを呈する「群発頭痛」があります。その痛みは「ドリルで目の奥をえぐられるような」と表現されるほどで、QOLの低下は片頭痛よりもさらに深刻です。

これらの3種類の頭痛のなかで、噛み合わせと最も深く関わっているのは「緊張型の頭痛」です。

​​​​​​頭痛の7割をしめる筋緊張型の頭痛は肩や頭の周りの筋肉が緊張することでおこります


緊張型頭痛の多くは肩こりや首すじのこりと同時に現れます。肩から頭の後ろ、てっぺんあたりにかけてズキズキ痛みます。

そのため「肩こり頭痛」「筋収縮性頭痛とも呼ばれることもあります。

症状は頭を締め付けられるような痛みで持続的にあらわれるのが緊張型の頭痛の特徴です。

「ヘルメットをかぶったような圧迫感」」「はちまきで締め付けられるようなギュッとした痛み」と表現されることもあります。

次のような症状のかたは緊張型頭痛に罹患する可能性が高いと考えられています。

 ・肩や首筋が凝りやすい

 ・コンピュータやスマホに向かうことが多い

 ・根を詰める仕事が多い

 ・目が疲れることが多い

  ・運動不足である

 ・肩こりと首筋のこり、頭痛とが一緒にくる

 ・ギリギリと頭をしめつけられるような痛み

 ・だらだらと痛みが続く

 ・軽い運動、入浴、などで頭痛が楽になれる

 ・休養、睡眠で楽になる


緊張型の頭痛では肩や頭も周りの筋肉が過度に緊張するためにおこります。

肩や頭の周りの筋肉はいろいろな原因で緊張します。

例えば肩の筋肉を使いすぎた時とか、悪い姿勢を長時間続けたり、精神的なストレスが続いた時とかに肩の筋肉が緊張して凝ることはよく知られています。

緊張型の頭痛はそれとほぼそれと同時におこります。

IT時代の現代では、パソコンやスマートフォンなどに向きあう時間が増えています。

それらの人々は良くない姿勢で固まった状態でパソコンやスマートフォンに長時間向き合っていることが少なくありません。

ストレスを感じながら悪い姿勢を長時間続けていると、肩や首筋の筋肉の血行がとどこおり、肩や首筋の筋肉がこるということは多くの人が経験していることです。

しかしそのような場合でも仕事の量を減らしたり、運動やマッサージをすることでいくらかは肩こりや頭痛の辛さをいくらかは軽減することができるかもあいれません。

しかしその段階をすぎるといくら休養を取っても、マッサージや整体治療などをしても一定以上の回復効果しか望めなくなることがあります。あるいはたえず再発を繰り返していると慢性化することも考えられます。そうなると簡単には回復しなくなります。

さらに肩こりや頭痛だけではなく、全身の倦怠感、自律神経の不調からくる原因不明の体調不良や精神的な減退感などの不定愁訴も併発することがあります。

このような段階になると生活にも重大な支障をきたすようになり、あらゆる医療機関を受診して解決策を探らざるを得なくなります。

しかし現代医学にはこのような患者さんを救う手段はありません。せいぜい薬物療法くらいしか手段はなく根本的な治療を期待することは出来ません。

これまでの現代医学の弱点の一つは緊張した筋肉の緊張を和らげるための手段があってもそれが使われていないということです。

筋肉を和らげることができれば肩こりも緊張型の頭痛も簡単に治せるはずですが残念なことに現代医学では筋肉の緊張を緩和するという手段はほとんど用いられて来ませんでした。

そのような方向で治療しようとする発想すらありません。

意外なことに筋肉の緊張を解く方法は医科に先駆けて歯科ではすでに開発されて実用化していました。

今から50年も前に米国の天才的な歯科医が筋肉の研究をしている過程で筋肉の緊張を緩和する理論と手段を開発していました。

その歯科医は咀嚼筋の緊張を緩和する方法をある種の電気刺激装置を応用することで可能にしたのです。

さらに咀嚼筋の緊張を緩和することでその周辺の筋肉の緊張も緩和することが分かりました。

その結果ある種の噛み合わせの異常が咀嚼筋を緊張させることもわかり、その噛み合わせを改善することで咀嚼筋とその周辺の筋肉の緊張も緩和することができることも解明されました。

当然歯科以外の疾患である肩こりや緊張型の頭痛も治療が可能になったのですが、このことに正面から取り組む医療者は歯科でも医科でもほとんど現れておりません。

これだけ肩こりや緊張型の頭痛で苦しんでいる人が大勢いるのにもかかわらずとても残念なことです。


肩や首筋、頭の周りの筋肉は下あごの筋肉が緊張すると緊張します。下あごの筋肉は肩や首、頭の周りの筋肉と密接につながり一体化しているからです。

首や肩の筋肉はあごの筋肉と密接に繋がっていて一体化しているために下あごの筋肉が緊張すると首や肩の筋肉も同時に緊張して痛みだします。

そのために噛み合わせを治してあごの筋肉を緊張させないようにすると肩こりと頭痛は同時に解消します。

あごの筋肉を緊張させるのは悪い噛み合わせです。

そのため悪い噛み合わせを治して、下あごの筋肉が緊張しないようにすることができれば肩こりと頭痛はほぼ同時になくなります。


2.嚙合わせが悪いためにおこる頭痛の症状

ご自分か苦しんでいる頭痛が噛み合わせのせいであるといわれても、にわかには信じてもらえないかもしれません。

ご自分が感じているしつこい頭痛がはたして噛み合わせと関係しているのかを知るためには、次のような違和感を感じておられるかどうかを知ることは参考になります。

噛み合わせの悪い人は次のような違和感を感じています。

     ・噛み合わせがしっくりしない

   ・噛み合わせが合わない

         ・どこで噛んでよいか分からない

   ・噛んだあと顎が疲れる

   ・あごの位置が定まらない

   ・自分が噛みたいところで噛めない

   ・前歯が先に当たって奥歯で噛みにくい

       ・たくさん噛んだあとで頭痛がおこりやすい

       ・身体にいつも力が入っている

     ・顎が曲がっていると思う

         ・口を開くときに曲がって開く

   ・顎関節症の既往がある

   ・歯列矯正をしたことがある


ここである悩み相談サイトに寄せられた頭痛で苦しんでいる人々の実例をご紹介します。


★症例1.

頭痛に悩まされています。原因不明です。

6年程前から頭痛に悩まされ、病院を転々としていますが、原因不明です。


8ヶ月程前に激しい頭痛に襲われ、身動きが取れず、救急車で運ばれましたが、異常ありませんでした。
その後も時々頭痛に襲われましたが、身動きが取れないほどの頭痛はありませんでした。
そして、4ヶ月程前に再び激しい頭痛に襲われ、病院へ行くと、CTでは脳梗塞と診断されましたが、MRIでは異常なしと診断されました。
なので、検査入院をし、精密検査をしましたが、異常なしでしたが、ミトコンドリアという病気か脳梗塞の可能性があると言われました。

ミトコンドリアの可能性がある理由としては、頭痛が起こるといつも左半身に障害が出ます。
また、脳梗塞と思われる理由としては、CT検査で見つかった位置と症状が完全に一致しているからだそうです。

今日、勤務中に頭痛に襲われ、めまい、吐き気、指先の痙攣、言語障害という症状が出ました。
そして、何度が嘔吐しました。

激しい頭痛の時、特徴があります。

最初は軽い頭痛
段々痛みが増す
痛みが広範囲になってくる
ズキ1 ズキ2 ズキ3 と、前、真ん中、後ろという感じに部分的に痛みが出ます。
ある時、強い痛みがズキっと一度来て、スーッと痛みが和らぎます。
そして、再びズキ1 ズキ2 ズキ3と、前、真ん中、後ろという感じに部分的に痛みが出ます。
その後、再び強い痛み。広範囲の痛み、部分的な痛みといったばらつき感が出てきて、早い時は2時間程度。遅い時は3日程度で痛みが和らぎます。


病院に行っても「原因不明です」「とりあえず、痛み止めと痙攣止めを飲んでください」としか言われません。
偏頭痛の可能性はあるのか。を聞いても偏頭痛ではない。と、言われました。

何が原因なのか全くわかりません。

★症例2.

顎関節症?緊張型頭痛?

2018/5/123:52:37

顎関節症?緊張型頭痛?

頭・首が痛いです。
主な症状として、
口を開くと明らかに骨がガクガク動いてるのがわかり痛む・こめかみが痛む・あごが痛む・耳がつまった感じがする・耳の前後が痛む・頬骨が痛む、

このことから顎関節症のせいかな?と思っていました。

ですが他にも症状があり、
目の奥が痛む・首が痛む(特に後頸部の付け根)・頭蓋骨が締め付けられる感じ

最初に述べた症状と上記の症状は、お風呂に入ると少し良くなります。

自分で調べてみると緊張型頭痛というのも当てはまる…?と色々考えてわからなくなりました。

今日はどうしても全体が痛かったのでイブを飲みました。
一時的によくなりました。

病院に行くにも、口腔外科なのか内科なのか、分からず困っています。

ちなみに、自分での判断ですが、骨盤後傾とストレートネックだと思います。
ストレートネックは、首を打ってレントゲンをとった時に医師に言われました。

どういう状況なのでしょうか…

よろしくお願いします。


★症例3.

締め付けられるような頭痛、吐き気、めまい、耳鳴りという症状があり、病院へ行ったのですが...

2016/5/2623:11:49

締め付けられるような頭痛、吐き気、めまい、耳鳴りという症状があり、病院へ行ったのですが

『ただの風邪』と診断されました。
薬を出されて毎日きちんと飲んでいるのですが
一向に良くなりません。
原因は何なのでしょう。
詳しい方、経験した方よろしくお願いします。


★ 症例4

片頭痛と緊張型頭痛の複合型だと思うのですが、ここ1年程で頭痛が頻繁に起こるようになってしまいました...

2016/5/2914:06:24

片頭痛と緊張型頭痛の複合型だと思うのですが、ここ1年程で頭痛が頻繁に起こるようになってしまいました。基本的に仕事中になり、一度なると寝るまで治らないため悪化して吐き気がして早退を繰り返してます。吐き気というより実際吐いています。肩こりや首こり?がひどいですが、頭痛の始まりそうな時に肩こりの体操などをしたら頭がクラクラして逆に気持ち悪くなりました。

同じような頭痛で苦しんでる方、どのように対策しているか教えてください。


★ 症例5

頭痛が治りません。

ID非公開さん

2017/4/2809:59:48

頭痛が治りません。

私は高校二年生なのですが、1週間ほど前から頭痛がします。
頭の中心が痛くて、立っているとさらに痛みが増します。

立ちくらみも酷く、寝ていたり座っていたりしたあと立ち上がると一瞬頭の中心が普段よりも強く痛み、目の前が真っ暗になり吐き気もします。(吐き気はしますが嘔吐しません)
今吐きそう!となってトイレに駆け込みますが、暫く座り込んでいると徐々に吐き気が引いてきます。
体育の授業とかで走ると、そのあと気持ち悪くて次の授業ではずっと机に突っ伏してます。

普段の生活にストレスは感じていませんし、学校も楽しいです。
なのでストレスから来る頭痛ではないと思うのですが、心配です。

この頭痛や立ちくらみはなにか病気でしょうか?

★症例6

頭痛について

目の奥、顎の付け根辺りが同時に痛みます。

痛くなるのは片側側で、両側が同時に痛くなることはありません。

比較的右側が痛くなることが多いです。

ひどいときは3日ほど鈍痛が続き、動きたくないほど痛くなる時もあります。吐き気もあり過去に嘔吐したこともあります。
市販薬(ロキソニンなど)も一切効きません。
20代後半女性、子持ち。仕事はパート。頭痛は20代前半から毎月最低1回は頭痛がでます。

頭痛外来に行きCTを撮ってもらいましたが異常なし。
片頭痛と診断され漢方と薬を毎日飲んでいますがあまり効果はありません。
頭痛薬に漢方を処方されましたがこちらもあまり効果がありません。

耳のした、顎の付け根が痛むので顎関節症の可能性も疑っています。
口を大きく開けることに痛みはありません。指を縦にして3本綺麗に入ります。
ですが物を噛むときにカクカク音がします。就寝時歯ぎしりもあります。
顎関節症場合は、同時に目の奥が痛むことはあるのでしょうか?
または別の病気なのでしょうか?
同じ症状の方がいれば教えていただけばと思います。

この質問は、活躍中のチエリアン・専門家に回答をリクエストしています。

ベストアンサーに選ばれた筆者の回答

yc_toshiabeiさん

2017/6/1014:25:35

かみ合わせとの異常と顎関節症や頭痛などの身体の不調との関係について興味をもって長年治療をしてきた歯科医師です。

頭痛外来で片頭痛と診断されたそうですが診断名が分かったとしても、これといった治療法がなく、鎮痛剤を処方するくらいしか対処法がないとうことであれば、これは現代医学の悲しい一面を示しているということになります。

毎月1回は頭痛がおこりその鈍痛が3日間も続いて吐き気もあり、そのために身体を動かすことが億劫になり、倦怠感に見舞われるというようなことが長年にわたって繰り返されてきたということですが、その辛さをお察しします。

その上唯一の対処法としての薬物療法もまったく効果がないということであれば、将来について絶望的にならざるを得ないのではないでしょうか。

しか内科的な治療法に期待できないとしても、まったく対処法がないというわけではありません。

片頭痛や緊張型の頭痛といったようなある種の頭痛(群発性頭痛を除く)は、顎関節症に随伴して起こるということがよく知られており、顎関節症を治せば頭痛もそれに伴って消えることが少なくないからです。

耳の下、顎の付け根が痛むということですので、たとえ十分に開口することが出来たとしてもこれは顎関節症の立派な症状です。さらに目の奥が痛むというということも、顎関節症の患者さんがよく訴えられる随伴症状の一つです。

これらの症状は顎関節症を含めてその周辺の筋肉が緊張することが原因で起こります。これらの筋肉が緊張する最大の原因は歯のかみ合わせによって下顎の位置が狂わされて、筋肉との関係が異常になるためです。

下顎の位置が狂うと、下顎に付着している無数の筋肉と神経の位置のバランスが崩れます。そうすると関連しているそれらの筋肉や神経が変化した位置に適応するために異常な筋活動をするようになります。その結果筋肉が異常に緊張して疲労します。

通常は顎の筋肉や首筋の筋肉、肩の筋肉などが凝ったような感覚を覚えるようになりますが、場合によっては、こめかみや側頭部、後頭部などの頭を取り巻く筋肉も緊張して硬直します。緊張して硬直した筋肉は血行不良となり、不快感や疼痛を感じるようになります。

筋肉内の血流が悪くなると、筋肉の中の乳酸やピルビン酸などの老廃物が排泄できなくなり、また新鮮な酸素や栄養などの供給が滞るために不快感として感じられるようになります。それが頭全体が締め付けられるような鈍い痛みとして感じられる原因ですが、まるで窮屈な鉢巻きで締め付けられるような不快感であるといわれています。

このような状態にならないように予防するためには、できるだけストレスをためないようにしてリラックスすることと、首や肩を動かすような運動をして血液の循環を良くすることです。

根本的な対処法としては下顎の位置を筋肉が安静になれるような位置(安静位)に戻してやることです。そのためには現在の顎の位置(習慣性咬合位)と顎が安静になる顎の位置(安静位)の差を測定して、顎が安静になるように導くためにマウスピース(オーソシス)を作って装着してもらいます。

通常は3~6カ月以内(早ければ2週間)で効果が表れて、顎関節症や首筋や肩こり、頭痛、自律神経失調症、無気力感などのいわゆるTMDといわれる症状が改善されます。

残念ながら現状ではこのような治療法に賛同して実行している医療機関はほとんどありませんので、このような考え方はほとんど普及していません。そのため多くの読者のかたはこの記事を半信半疑で読まれたかもしれません。

このような考え方や治療法は50年前に米国の天才的な歯科医によって開発されたものですが、一部の臨床家によって世界中で細々と行われています。その医療体験と情報を交換する国際学会は2年に一度世界のどこかで開かれています。今年はアルゼンチンのボエノサイレスで開催されました。

今年8月にはこの治療のために必要な計測機器などを作ってきた会社の創立50周年の記念講演会がシアトルで盛大に行われます。世界中から研究者や臨床家が参集する予定です。

頭痛に関する治療例を2症例ほど紹介しますので、興味のある方はご覧になってください。

http://www.kami-awase.net/case07
http://www.kami-awase.net/case08



3.嚙合わせによる頭痛の原因

肩こりや緊張型頭痛を引き起こす悪い噛み合わせとはあごの筋肉を緊張させる噛み合わせのことです。

正常な噛み合わせは決してあごの筋肉を緊張させません。顎の筋肉が緊張しなければ肩こりや頭痛は起きません。

ものを噛むために使われている下あごの筋肉は非常に強力な筋肉で、ものをかむ力はその人の体重に匹敵するといわれています。

また硬さや大きさが異なるさまざまな食物を咀嚼するためには微妙なコントロールを巧みに行うことが出来るように、非常に繊細にできています。

そのために食物を噛み砕いたり擂り潰したりするために使われる道具である歯の形や位置関係が筋肉とうまく調和していなかったりするとそれを動かしている筋肉は余計な調整をしなければならなくなり緊張したり余分に疲労したりします。

これが歯の噛み合わせが悪いとなぜあごの筋肉が緊張したり疲労したりするようになるかという理由です。

あごを動かす筋肉が機能しやすいように噛み合わせの条件が整えられていればく筋肉は緊張したり疲労しないで安静な状態を保つことができます。

ちょうどピアノを弾く人がピアノを引く前にピアノとの距離や位置関係を微妙に調整するように、ものを咀嚼する道具である歯とそれを動かす筋肉との関係がうまくいっていないと上手に演奏できないのと同じような関係であると考えていただければ分かりやすいかもしれません。

筋肉は非常に繊細な組織なのでわずかな位置条件の変化にも反応して微調整を繰り返しています。

その調整のための負担が筋肉が適応できる範囲をこえると筋肉は疲労して反応しなくなり硬結して固まっ状態になります。これが筋肉が凝るといわれれている状態です。

これは筋肉の緊張が長時間続いた結果おこる筋肉の攣縮(れんしゅく)といわれている状態です。筋肉の中では血液の循環が停止して酸素や栄養補給が滞り、老廃物を排出することができなった状態です。

そうすると筋肉は排泄されなかったアンモニアやピルビン酸などの老廃物のために痛みなどの不快感を感じるようになり、痛みをもたらします。

基本的に骨格と骨格との間にある筋肉(骨格筋)は骨格同志の間の位置関係が狂うと正常に機能しづらくなくなり緊張します。

姿勢が悪いと肩こりなどの筋肉痛がおこるのはそのためです。姿勢が悪いというのは骨格間の位置関係が正常な関係にないということだからです。

噛み合わせ悪いというのは、基本的には下あごと頭蓋という骨格の間の位置関係が歯の噛み合わせの都合にによって狂わされた状態のことです。

噛み合わせの治療はその位置関係を正常に戻すための治療です。適正な関係に戻すことができれば筋肉が正常に機能できるようになり、筋肉は安静になります。

悪い噛み合わせは下あごと頭(頭蓋)の位置関係を狂わせる

下の図は下あごと頭蓋との位置関係を示していますが歯の高さが左右で違っている場合、その状態で上下の歯を咬み合わせると下のあごが矢印の方向にズレます。ズレるというより回転するように捩じられるといってもよいかもしれません。

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このような骨格間の位置関係ではその間で働く筋肉(咀嚼筋)は正常に機能することが出来ずに緊張したり疲労したりします。

片側だけが異常に低い噛み合わせは下のあごの位置を低い方に回転させるように歪ませます。
そうすると下あごを支えている顎関節や下あごを動かしている筋肉も正常な機能が営めなくなります。

筋肉を緊張させない噛み合わせは良い噛み合えせです。

筋肉を緊張させない噛み合わせは上下の歯噛み合う時にあごの位置をずらすことがなく噛みあう場所が一か所にキチンと決まっている噛み合わせです。

噛み合わせを治せばあごの筋肉の緊張もとれて頭痛も肩こりも無くなります

緊張型頭痛はや肩こりはあごの筋肉の緊張から始まります。

あごの筋肉は非常に繊細で歯の噛み合わせからの影響を受けやすく、噛み合わせが良くなれば緊張したりしなくなり肩こりも緊張型の頭痛もなくなります。

頭の周りの筋肉はあごの筋肉と密接にからみあっていますので、あごの筋肉の緊張がなくなれば肩の筋肉と頭の周りの筋肉の緊張もなくなり頭痛も感じなくなります。

頭痛の治療はあごの筋肉の緊張をやわらげることで治療ができるようになりました。これは辛い頭痛で悩んでおられる大勢のかたにとっては画期的なできごとだと思います。

肩こりの治療は現代医学ではどこの科でも治すことが出来ませんでしたので、整体、カイロ,鍼灸などの代替医療で一時しのぎの治療に頼るしか選択はありませんでした。

これは歯科治療の中から生まれてきた発想で、歯科治療によってはじめて達成されました。

また歯科治療によってしか行なえない治療でもあります。

しかしこのような事実が広く世の中の人々にまで広まっていくためには多くの時間が必要だと思います。

頭痛を起こさせないための噛み合わせ治療

噛み合わせの治療は次のような流れでおこないます。

  ・カウンセリング
  ・噛み合わせの異常と体調不良の関係を調べる
  ・筋肉の緊張の度合いを測る(筋電計)
  ・筋肉が緊張しないあごが楽な位置をさがす(TENSとK7を使用)
  ・そのあごの位置を維持するための装置を作って使用してもらう
  ・症状が改善されたら最終治療に移行する

カウンセリング

  ・ お悩みのあらまし、これまでの経過などを詳しくお伺いします。

  ・ 噛み合わせと関連した症状であり解決可能かどうかを判断します。

  ・ 症状を改善する治療が可能かどかを判断します。

  ・ 治療方法・予後・治療期間・費用などをご説明して、受診の意思の有無をお確認します。

噛み合わせの治療は顎の筋肉が緊張しないように噛み合わせを治療することですが、そのためにはあごの筋肉の緊張を一時的に低周波治療器で緩和して、そのあごの状態を維持する装置をつくって装着してもらいます。

そうすることであごの筋肉は悪い噛み合わせからの影響を受けなくなるために緊張がとれて安静になり楽になります。

それにつれてあごの筋肉と密接な関係にある肩や首筋、頭の周辺の筋肉、背中や腰の筋肉も同時に楽になります。

噛み合わせの異常と体調不良の関係を調べる

噛み合わせの検査;

 ・ 噛み合わせによる姿勢の変化を全状態を調べます。

 ・ 筋電計(EMG)を装着してあごの筋肉の緊張の度合いを計測します。

 ・ TENS(低周波治療器)を約1時間ほど使用してあごの筋肉の緊張を解き、あごを安静位に
   導きます。

 ・ 顎の筋肉の緊張が緩和されたかどうかを筋電計で再び確認します。

 ・ あごの筋肉の緊張が緩和されたことが確認できたら、その時のあごの位置と現在の噛み
   合せの位置をコンピュータ(CMS K7)の画面上で比較して診断し、その位置を記録し
   ます。

 ・ 噛み合わせが症状の原因になっているかどうかを最終的に判断します。

筋肉が緊張しないあごの位置を探すことが出来たら其位置を維持するための装置を作ります。

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 筋肉が緊張しないで顎が楽になる位置を維持するためのオーソシス

透明な硬い樹脂でつくったオーソシス(マウススピースの一種)下の歯にはめて使います。

オーソシスは下顎安静位であごを支えて筋肉を安静にすることが目的です。
あごの筋肉が安静になっていくにつれて肩こりが徐々に改善されていくことを実感していただけるはずです。

オーソシスは最初は食事以外にできるだけ長時間装着していただきます。
症状が緩解してきたら、症状が出ないときには外していただいてかまいません。

症状が改善されたら最終的な治療に移行してやらなければならないことがあります。

オーソシスを使用していただいて肩こりや頭痛が軽くなったとしてもオーソシスの使用を中止すると症状が戻ってくることがあります。

戻ってくるときには再びそのオーソシスを装着していただければよいのですが、オーソシスに頼らなくても肩こりが再発しないようにするためには最終的にはご自分の歯を治さなければなりません。

その治療はかなり大掛かりな治療になることがありますが、とりあえず辛い症状から逃れて健康な日常生活を取りもどした後でゆっくりと計画的に取り組まれればよいのではないかと思います。

5.まとめ

噛み合わせが悪いと肩がこる、それと同時に頭痛もおこるということは昔から経験的に知られていました。

しかし噛み合わせと筋肉痛(頭痛)の関係を科学的に追及した歯科医学の研究者はいませんでした。

約50年前に米国の歯科医が低周波TENSという装置を歯科治療に導入したことから歯科における筋肉の研究が始まりました。

彼は引き続き下あごの動きと位置を正確に計測する装置をつくり、歯科用の筋電計も導入したことからこの分野の研究と治療が飛躍的に発展しました。

その結果、筋肉の緊張を和らげるという医学の他の分野では行なわれていなかった治療が可能になりました。

首こり、肩こり、緊張型の頭痛、背中や腰の筋肉痛で苦しんでいる人は非常に多く、国民病ともいわれていますが、これらの疾患は歯科の分野ではあまり取り上げられてこなかった分野ですが、今後はもう少し積極的に歯科からのアプローチを強めていきたいと考えています。