歯科医が教える!悪い噛み合わせの具体的な治療法

original7
からだの異常の原因となる悪い噛み合わせとはなにか?どのように治せばよいかを専門医が具体的に解説します。

1.悪い噛み合わせの特徴とは  

  噛み合わせの悪い人は次のような違和感を感じています。

     ・噛み合わせがしっくりしない

   ・噛み合わせが合わない

         ・どこで噛んでよいか分からない

   ・噛んだあと顎が疲れる

   ・あごの位置が定まらない

   ・自分が噛みたいところで噛めない

   ・前歯が先に当たって奥歯で噛みにくい

       ・たくさん噛んだあとで体調が悪くなる

       ・身体にいつも力が入っている

     ・顎が曲がっていると思う

         ・口を開くときに曲がって開く

   ・歯列矯正を経験している

☆ 噛み合わせが正常な人はこのような違和感を感じていません。


これらの兆候と違和感は、歯の噛み合わせと筋肉が決めるあごの位置が微妙にずれていることを表しています。

噛み合わせが悪い人は歯を嚙み合わせる度に症状が悪化します。

歯を噛みあわせないかぎり、顎関節の痛みや体調不良などの症状にはあまり影響しません。

つまり歯を噛み合わせないであごの力を抜いて口を軽く開いている限り、悪い噛み合わせの影響を受けないで済むのが普通です。(それは可能ではありませんが)

そのため噛み合わせが悪い人はできるだけ歯を強く噛み合わせないようにするのが賢明です。

2.噛み合わせが悪い人に起こる症状とは?

   ・最近何となく体調がよくない。

   ・いろんなところで診てもらったけど、どこも悪くないといわれる。

   ・しかし最近とても疲れやすくて、常に肩も首もこっている。頭痛もよくある。

   ・たまに体調がすごく悪い時には、頭痛、吐き気、胸やけ、めまい、ほてり、貧血のような
    症状がありとても辛い。

   ・ストレスを感じやすく神経質で色々気にしてしまうことがある。そんなときには歯を食い
    しばっている。

   ・以前、顎関節症と言われたことがある。

   ・今でも口を大きく開けたり閉めしたり度に関節のところで音がする。

   ・歯列矯正治療を受けたことがある。

   ・それ以来顎関節症の症状がでた    

   ・最近とくに不眠症きみで熟睡した感じがない。
    そのため朝、寝起きががよくない。

   ・体調が本当に悪いときは、夕方には横にならないと次の家事を続けられない。

   ・肩こりがひどいときは手足がしびれることがある。

   ・身体に常に力が入って辛い。

   ・精神的にも追い詰められている

   ・呼吸や顎をダラリとすることでとで身体がゆるんで楽になる。

   ・以前より集中力がなくなったようだ。

   ・イライラして怒りっぽくなった。

   ・便秘がちである

   ・生理不順や生理痛がひどい。

   1.肩の奥の痛み
   2.胸の奥の痛み
   3.肩甲骨の痛み
   4.鎖骨周りの痛み
   5.息を吸ってもいっぱい吸えない
    6.喉に締め付け感がある
   7.頸椎周りに詰まった感があり気分が悪い
  10.首凝り、肩こり、腰痛、頭痛
    11.猫背
    12.腕が上がらず痛みもある

   ・噛み合わせが悪いとまず顎を支えている筋肉咀嚼筋が緊張して、それが首や肩の筋肉を
    緊張させて筋肉痛を起こしています。

   ・からだの筋肉の緊張をゆるめることができれば身体の筋肉の緊張もなくなり筋肉痛と体調
    不良を解消することができます。

   ・そのためには悪い噛み合わせを治療してあごの筋肉の緊張をとるための治療が必要です。

   ・悪い噛み合わせを治すことであごの筋肉の緊張がほぐれて身体の筋肉の緊張もなくなりま
    す。からでの不調からも解放されます。

3.噛み合わせが悪くなったらどこで治療を受けられるか?

残念ながら同じ考え方で治療をしている医療機関は非常に少ないのですが、都内で信頼のできる
医療機関を2軒ご紹介します。

・王子神谷矯正歯科クリニック
 院長 百瀬 保
 お問合せ:(フリーダイヤル 0120-88-4609)
       03-5902-3600
 住所:〒114-0002    
    東京都北区王子5-10-1 戸部ビル2F

・K.I歯科
 院長 菊池龍介
 お問合せ: 03-3426-6488
 住所:〒156-0052
    東京都世田谷区経堂1-1-10   


・地方在住のかたで同じ考え方で診療している医療機関を探される場合には下記の学会所属の
 会員に相談されることをお勧めします。
・下記の学会のホームページにアクセスして会員名簿からお近くの会員に連絡をしてみてくだ
 さい。  国際顎頭蓋機能学会の本部会 http://www.iccmo-jp/

治療を受けられる前に知っておいていただきたいことをまとめました。

   ・インターネットの情報にとびつかない。

   ・どのような考え方で治療をしているかを確かめる

   ・その結果としてどのような治療実績があるかを確かめる(治療実績が公表されているか)

   ・何らかの客観的なデータに基づいて治療をしているか

   ・医師の勘や思い込みだけで治療をしていないか

   ・患者の訴えに真剣に耳を傾けて親身に話を聞いてくれるか

   ・審美的な治療に重点を置きすぎる傾向がないか

   ・不可逆的な治療(歯を削るような元に戻せない治療)を受けるときには最大限の注意が
    必要 

   ・取り返しがつかないようなことにならないようにステップごとに効果を確認しながら治療
    を進める治療の進め方が重要

   ・最初から矯正治療だけで噛み合わせを治そうとする治療方針には注意が必要
    (成功率がきわめて低いので避ける方が賢明)

   ・大学病院を過信しない


噛み合わせの具体的な治療法とは?

一次治療と二次治療


・噛み合わせの治療は安全性と確実性を確保するために2段階で行います。

・オーソーシスを使って、辛い症状が取れるまでの段階の治療を一次治療としています。

・一次治療(初期治療)は噛み合わせ治療の予行演習のような意味合いがあり、あごの位置を一時
 的に健康して治療効果を確かめます。

・二次治療は一次治療で効果が確認されたあごの位置をご自分の歯で維持できるように、元の歯
 の状態を変更するための治療です。

・噛み合わせの治療は最終的には噛み合わせを治すために多数の歯に被せ物をしたり、矯正治療
 で歯の位置を移動したりします。それらの治療はいったん始めたら後戻りすることのできない
 不可逆的な治療であり、歯に対する侵襲度が大きい治療です。

・二次治療は歯を削って被せたり、歯を矯正で動かしたりするために不具合が生じたり、症状が
 改善しなかったりした場合に元に戻すことの出来ない不可逆的な治療を行ってしまった後では
 取り返しがつきません。

・そのために歯には手を付けずに、何時でも元に戻すことができる一次治療を先に行って治療効果
 を確かめる必要があります。

・一次治療はオーソシスを使って症状が消えるあごの位置をテストしながら症状が緩解する位置
 を探し求める治療です。

・そして症状が完全に緩解したことが確認された段階で、その位置を見失わないように二次治療
 でその位置で歯が噛みあうように噛み合わせを治します。

第一段階の噛み合わせの治療は以下のような手順で行います。
・カウンセリング
・噛み合わせの異常と体調不良の関係を調べる
・筋肉の緊張の度合いを測る(筋電計)
・筋肉が緊張しないあごが楽な位置をさがす(TENSとK7を使用)
・そのあごの位置を維持するための装置を作って使用してもらう
・症状が改善されたら2次治療に移行する
‣2次治療では歯の噛み合わせを再構成する

1)カウンセリング

 ・ お悩みのあらまし、これまでの経過などを詳しくお伺いします。

 ・ 噛み合わせと関連した症状であり解決可能かどうかを判断します。

 ・ 症状を改善する治療が可能かどかを判断します。

 ・ 治療方法・予後・治療期間・費用などをご説明して、受診の意思の有無をお確認します。

2)噛み合わせの異常と体調不良の関係を調べる

噛み合わせの検査


 ・ 噛み合わせによる姿勢の変化を全状態を調べます。

 ・ 筋電計を装着してあごの筋肉の緊張の度合いを計測します。

 ・ TENS(低周波治療器)を約1時間使用してあごの筋肉の緊張を解き、あごを安静に導き
   ます。

 ・ 顎の筋肉の緊張が緩和されたかどうかを筋電計で確認します。

 ・ あごの筋肉の緊張が緩和されたことを確認できたら、その時のあごの位置と現在の噛み合

   せの位置をCMS(K7)の画面上で比較して判断しその位置を記録します。

 ・ 噛み合わせが症状の原因になっているかどうかを最終的に判断します。

筋電計での検査

normal30
表面電極筋電計を用いてあごの筋肉の緊張度合いを計測する

3)筋肉が緊張しない楽なあごの位置をさがす

  下顎を安静に導く


 ・ TENS(低周波治療器)を 45~60分使用してあごの筋肉の緊張をとります。

 ・ 緊張がとれてあごの筋肉が安静になっているかどうかを筋電計で確認します。

 ・ CMS(K7)を装着してその画面上で下顎の安静位を確認して記録します。

TENS(低周波治療器)で筋肉の緊張を緩和する

normal24
あごの筋肉の緊張をとって安静なあごの位置(安静位)をさがすために用いるTENS(マイオモニター)を使用する  (TENS;Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation)

顎運動解析記録装置(K7)であごの動きや位置を記録する

normal29
下顎運動追跡記録装置(CMS・K7) あごの動きや位置を計測して楽なあごの位置を特定する
                     (CMS;Computerized Mandibular Scan)

筋肉が緊張しないであごが楽になる位置で装置つくって使用してもらう

筋肉が緊張しないで顎が楽になる位置を維持するためのオーソシス

normal31

透明な硬い樹脂でつくったオーソシス(マウススピースの一種)下の歯にはめて使います。

    オーソシスは下顎安静位であごを支えて筋肉を安静にすることが目的です。

咬合再構成の二つの方法

 ・ 咬合再構成の方法には、ご自分の歯の上に人工の材料で被せ物をして下顎安静位を維持す
   る方法と、ご自分の歯を移動させて下顎安静位で噛むようにする矯正治療を行う方法が
   あります。

補綴的咬合再構成治療

 ・ ご自分の歯の上に人工の材料で被せ物をして下顎安静位を維持する方法を補綴的咬合再構
   成といいます。   す。

 ・ この方法の利点は比較的短時間で治療を終わらせることができることですが、欠点は人工
   の被せ物(補綴物)を固定するためにご自分の歯を削らなければならないことです。

 ・ 補綴的再構成治療ではいきなり歯を削って最終的な補綴物を装着すると万一不具合が生じた
   時に取り返しができないのでその前にテストとしてプロヴィジョナル(予備的な治療)を
   おこなってから最終的な治療をします。

矯正的な咬合再構成治療

 ・ 矯正的な咬合再構成はご自分の歯を傷つけずに歯を移動して上下の歯が噛み合うようにする
   治療法ですが、技術的にかなり難しく、治療時間も年単位で長時間の治療が必要になります。
normal26
治療のながれとスケジュール

5.費用は?

5-1.費用の目安

1.当院では、一回の治療に費やす時間、治療の難易度、医師の知識と経験、技術力にもとづいて
      費用を設定しています。

2.噛み合わせ治療はかなり高度な治療なので残念ながら保険治療には対応していません。

3.治療費については、治療を開始する前に概算をかならずお知らせします。
  十分に理解し納得されたうえで治療を受けてください。

5-2.治療費の区分と金額

 A. カウンセリング(30分~120分)                  5000円+消費税

 B. 一次治療(オーソシスによる症状の改善を目指す治療)

   噛み合わせの検査、オーソシスの制作・装着、調整3回分を含む、治療期間は3~6カ月
                              240,000円+消費税

 C. プロビジョナル治療(一次治療から二次治療への移行治療)
                          1歯20,000円x本数+消費税

 D. 二次治療(症状が安定した後の咬合再構成治療)

   1)歯列矯正治療による咬合再構成治療(治療の難易度と期間による)

   2)補綴的手段による咬合再構成治療

6.まとめ

 1)原因が分からない体調不良や身体の異常で悩んでいる人は多い。

 2)体調不良とからだの異常の原因は筋肉の緊張である。

 3)筋肉の緊張をとれば筋肉痛や体調不良は解消される

 4)筋肉を緊張させているのは噛み合わせの不具合である

 5)悪い噛み合わせの治療は、あごが安静を保つことができる安静なあごの位置を
   探す事から始める。

 6)その位置(下顎安静位)で顎を支えるオーソシスを作成して使用すると顎の筋肉の緊張が
   緩和する。

 7)あごの筋肉の緊張が緩和されたら全身の筋肉の緊張も緩和されて体調不良は解消される。

 8)このあとはオーソシスなしで自分の歯が噛み合うようする咬合を再構成するために第二
   段階の2次治療が必要になる。

 9)噛み合わせの治療には近道はないので妥協をしないで治療をすることが大切である。