顎関節症とTMD

顎関節症と診断されたり、自分は顎関節症ではないかと疑っておられる方も多いと思います。

顎関節は耳のすぐ前にある関節ですが、この部分を押したり口を大きく開けたときなどに痛みがあり、音がしたりするときにつく病名です。せまい意味の顎関節症は、顎関節の内部の病的な組織の変化とともに構造の変化をともなって起こる病気を意味しますが、実際にはそれだけではなく関節を中心とした広い範囲の筋肉や靭帯の病気をも含んで呼ばれていることが多いのです。ですから顎関節症といわれても、顎関節そのものの病変以外にも周辺の筋肉の緊張性の凝りや痛み、頭痛などまで含んでいることがあります。要するに病気の範囲が曖昧な病名であるということになってしまっています。したがってこれらの不快症状はTMDという病名でひと括りにされつつあります。

TMDはここではわかりやすくするために「噛み合せ症候群」と同じように取り扱っていますが、学問の世界からは多分クレームがつくはずです。それというのもTMDは必ずしも噛み合せ(咬合)だけがが原因ではなく、多因子性の疾患であると定義されているからです。欧米ではTMDと咬合の因果関係を科学てきに証明できていないので、むやみに咬合だけからアプローチすることを厳しくいましめているのです。医師は科学的に証明された治療だけをするべきであるという考え方が支配的になっています。これはEBM(Evidence Based Medicin) とよばれていて大切にされています。このようなことがいわれるようになったのは、根拠のない治療のために犠牲になる患者さんが増えたり、無駄な医療費が増えたりしたからです。

EBMからみて、TMDと咬合との関連は科学的に肯定はされていませんが、同時に科学的にその関連が否定されている訳でもありません。将来その関連が別の角度から肯定されるかも知れないのです。
とにかく噛み合せが原因でおこる不快症状が、噛み合せを正すことで消失し、その逆もあるという事実は厳然として存在しています。

問題は噛み合せの不正をどの角度から調べてそれを不正と診断するかということです。つまりなにを基準として診断するかということになります。ここでは下顎の安静位を基準として診断するという立場をとっています。  これは”神経筋機構理論”とよばれている考え方で、神経と筋肉にとってもっとも楽な位置を基準にして診断と治療を行っていこうとしています。この角度からおこなう咬合治療とTMDとの関連はまだ証明されていませんし、そのための手続きさえもまだされていません。いずれここに焦点があてられる日がきて肯定的に実証されるはずです。

この件に関しては、国際的な学会である国際顎頭蓋機能学会ICCMO (International College of Cranio Mandibular Orthopedics)の日本部会のホームページを参照してください。

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